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Channel: 布とお茶を巡る旅
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上田先生の個展の続き

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今回も「シェットランドレース&トラディショナルニット展」ですから、
フェアアイルニットやアランニットの展示もありました。

「海の男たちのニット」「永遠のフェアアイル・セーター」
会場に展示されていたこの2冊、私も持っています。
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「永遠のフェアアイル・セーター」によりますと北海と太平洋が出会う荒波と潮風に囲まれたシェットランド諸島。この地は、1469年にデンマークのマーガレット王女が、ジェームズⅢ世に嫁ぐときに持参金としてスコットランド領になるまでの500年間、ノルウェー領土でした。そうだったのか~(無知な私です)

当時、過酷な島の環境で編み物は貴重な現金収入のもとでした。
漁師が漁の合間の船上で、家では子供たちも含めて
家族総出で生産に携わったとあります。

伝統的なフェアアイル模様は、輪編みで一周には2色までしか使いません。
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以前、一度だけワークショップ編んだことがありますが、
編み込む模様も自分で考えてと言われて、考えた模様を先生に見せたら、
「う~ん、一段に2色までなのよ~」と言われたことを思い出しました。

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上田先生の作品は落ち着いた色の組み合わせですが、
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フェアアイル編みの初期の基本色は元々の羊の毛色の黒・白・茶色のほかに
ローズピンク・黄色からオレンジ色・藍・茜などコントラストの強いもので、
これはランプと暖炉の光しかない中でも模様が見える強い配色が
選ばれたと考えられています。
「永遠のフェアアイル・セーター」表紙のこちらのようなセーターでしょうか。
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現在では様々な色で編まれていていて楽しいのですが、
総模様というのは編んでみたいという気持ちはあっても、
身に着けることを考えると自分には似合わないと思ってしまいます。

会場には編み物の道具なども展示されていました。
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この黒い皮制のものはニッティングベルトで、これを腰に巻き、
そこに右針を刺して固定し編むことによって手にかかる負担が軽減され、
スッピードアップするそうです。
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こちらは手袋の型、編みあがった後に洗って乾かすときに
この型を使って形を整えるものです。
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紡ぎ車で用途に合わせて自在に。レースからアランニットまで。
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むっちりとした手紡ぎ糸で編まれたニット。
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スワッチもいろいろと。
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こども用のベスト、羊が顔をだしてます♪
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これ可愛い~、だれかにプレゼントしたいと思ったけど
残念ながら贈る相手が思い浮かばない。
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ざっくりとアランニットも「仲間」と思っていたけれど、
シェットランド諸島のあるスコットランドとは
遠く離れたアイルランドにあるのがアラン島なのよね~。

今回、このブログを書くために「永遠のフェアアイル・セーター」と
「海の男たちのニット」それに三國さんの「編み物修学旅行」読み返して、
私のなかでの思い込みや「定説」となっていることが
あれこれと覆されました。

そのあたり、私にはとても興味深いのですが、
今回の個展とは関係のないことなので、その気になった時にまた改めて。

とにかく、上田先生の個展がこれで最後とならないことを
こころから祈っています。

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