カトリ、逝く…

その猫はずっと待っていた。

Bonamiの2人、さとさんと葉苗ちゃんが出会うよりもずっとずっと前から、
貴船神社の下で野良を装って待っていた。

そしてとうとう待ち人たちはやってきた。
7年という時間は猫にとってはとてつもなく長かったので、
もうほとんど諦めていた頃に。


運命の出会いのないまま終わる命も多いと知っていたから、
自分は運がいいと思った猫は残りの時間がそう長くないことも知っていた。

果たしてその使命を果たすことができるか、それだけが心配だった。


ほどなくしてカトリと名付けられたその猫は
たくさんの思い出と1冊の本を残して逝ってしまった。


その猫に残されていた時間をすべて使い果たしてしまったから。




Bonamiのオープンアトリエのときに、
まるで水先案内人のようにお客さんを案内したり…

嬉し恥ずかし、雑誌にも堂々一面取り上げられたり…

消しゴムハンコにもなったり…



あちら、こちらに足あとを残して…

そしてまたいつか

新しい作品となって蘇ることがあると信じて…

永遠の時空へと旅立った。


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