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Channel: 布とお茶を巡る旅
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パスカルの蝶たち

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去年の秋に、木村奈央さんからメッセージをいただきました。

2021年5月開催予定参加型企画展「パスカルの蝶たち」
参加者募集のお知らせ(募集はすでに終了しています)
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“すべてはひとつであり、すべては多様である“
              Blaise Pascal

企画展の詳細はこちらでご確認ください。

(企画概要)
ご参加の皆さまに葉から生まれた蝶をお送りし、
その白い蝶のオブジェに文字、色、絵など、
多様性に満ちた表現をしていただき、
その蝶たちをひとつの作品としてKの家にて
インスタレーション いたします。
多くの方と共に多様性に満ちたひとつの作品を
作り上げていきたいと考えております。


*****   *****



年が明けて2021年1月初め、奈央さんからこんなセットが送られてきました。
中央の透明フィルムに入っているのはお試し用の葉です。
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蝶が形になっていると加工が難しいということで、
翅の形で届いた素材にそれぞれ加工して送り返し、
組み立ては奈央さんの手でしてくださるとのこと。
正直、ほっとしました。

さて、いただいた翅を前にして観察することひと月。
困ったことになにも思いつきません。
こんな美しい素材なら、
このまま蝶に組み立てた方が良いんじゃないかしら…
何をしても素材のもつ美しさを壊してしまうような不安に駆られたのです。

実際にそう決断して「Alredy completed」というタイトルで、
そのままご自分の作品とされた方もいました。

そうこうしているうちに「仕上げたので送ります」という参加者が現れて、
私もなんとかしなくては…とやや焦りが生まれてきました。

私にとって一番身近な加工素材って何だろう

ここ数年来、月に一度ではあるけれど金継教室に通っているので、
やはり漆だろうか。

そうだ白漆にしてみよう♬

白漆といっても真っ白なわけではありません。
生漆に顔料の白(チタン)を混ぜているので、こんな色です。
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乾いたら私の予想をはるかに裏切るチョコレート色に変身していました。
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以前カップの縁を直した時の白漆はこんな色だったのに。
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2週間ほど様子をみましたが、ほとんど色の変化がありませんでした。

さらに1週間ほど眺めているうちに少しづつ気持ちに変化が起きてきました。
いま目の前にあるものこそが、私にとっての現実かもしれない…
「落葉帰根」という言葉が脳裏に浮かんだので、
それを作品のタイトルにしてお送ることにしました。


奈央さんに送ってしばらくすると手元に残したテスト用の葉の色に、
少しだけ変化が出てきました。
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*****   *****


こちらが奈央さんが組み立ててくださった私の蝶です。
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送った翅とはもうまるで別物です。


ちゃんと「作品」に仕上げていただきました。
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まさに奈央さんの手は魔法の手です。

他の方々の作品も順次こちらでご覧になれます。

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