田島木綿子著「海獣学者、クジラを解剖する。」を読む。
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哺乳類である彼らはなぜ、陸を捨てて海を選んだのだろう。
海での暮らしに適応するために、どんなふうに進化して
いったのだろう。そして、なぜ海岸に打ち上がるのだろう。
それが知りたくて、一つ一つの死体から聞こえる声に日々
耳を澄ます。
今まで深く考えたことがなかったけれど、
海の哺乳類って、海から進化して陸に上がった哺乳類が、
再び海に戻ったのだという…
進化の過程で海に戻っていった彼らは、いわば「変わり者」
と著者は語る。
海にすむ哺乳類は大きく3つのグループに分かれると知った。
鯨 類:クジラ・イルカ・シャチ
海牛類:ジュゴン・マナティ
鰭脚類(ききゃくるい):アシカ・オットセイ・アザラシ・セイウチ
クジラ、イルカ、シャチと分けて考えていたけれど、同じ仲間だったのね。
私は陸の哺乳類ではチーター、海ではシャチが一番好き。
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著者の田島先生もカナダのバンクーバーで出会ったシャチに魅了されたことが
きっかけで海洋哺乳類の研究を選んだという。
ストランディングとは海の哺乳類が何らかの理由で陸へ打ちあげられ
自力では海へ戻れなくなった状態のこと。
日本語では「漂着する」「座礁する」と表記されることが多い。
日本では年間300体ものクジラたちが海岸に打ち上げげられているそうだ。
これは報告があっただけの数なので、住む人のいない土地の浜で
人知れず打ち上がったクジラはもっといると言う。
海洋哺乳類がストランディングされたという知らせが入ると、
日本中どこへでも駆け付け調査をする。
おそらく日本で一番多くクジラを解剖しているのが田島先生らしい。
その調査の方法は私の想像をはるかに超えたもので、
読んでいてびっくり、そしてわくわく。
調査委現場に立つと、いつも思う。
なぜこのクジラは死ななければならなかったのだろう。
その原因に私たちの生活は影響しているのか、
だとすれば私たちにできることはなんなのだろう、と。
***** ***** *****
真鶴の三石海岸にクジラの死体が漂着したのは
2019年の4月11日のことだった。
4月25日付けのカナコロの記事によると足場が不安定な岩場に打ち上がっており、町は安全性を考慮し
公表を控えていた。とあるけれど、私は11日にかながわ海岸美化財団のFBで知った。
この話をManbowにすると「写真を撮ってこい!」という指令が飛んだ。
こちらの写真は12日のかながわ海岸美化財団のFBに載ったものだけれど、
海岸のどのあたりか場所が特定できなかった。
![_c0033636_11585530.jpg]()
とりあえず時間ができた15日に岬まで行って、
売店の方に「クジラ見ました?」と聞いてみた。
すると見てきたというオジサンが丁寧に場所を教えてくれた。
3百数十段の階段を下りて海岸にでると、遊歩道を番場浦とは反対の方へ。
いままでこちらへは来たことがなかったので恐る恐る進んでいくと
大きな岩の向こうにそのクジラは横たわっていた…
こちらがManbowの指令で15日に私が撮ったもの。
![_c0033636_11583324.jpg]()
思ったよりもずっと腐敗が進んでいてショックだった。
Manbowの指令がなかったら写真を撮る勇気がなかったと思う。
後で知ったことだがこの個体は死後1か月ほど海を漂っていたらしい。
12日の写真と比べると、尻尾の曲がり具合やお腹の膨らみ
鰭の角度などがかなり違うことが分かる。
もちろん写真を撮った場所の違いもあるけれど、
これは腐敗が進んだために体内にガスが溜まって変化したから。
さらに腐敗が進むとガスによってクジラが爆発することもあると
「海獣学者、クジラを解剖する。」に書いてあった。
このあと18日には国立科学博物館の調査が行われたので、
もちろん田島先生も駆け付けたようだ(女性科学者と聞いただけなので)。
後日、遠藤貝類博物館の学芸員さんも調査に参加したと、
その時の話をやや興奮気味に(嬉しそうに)話してくれた。
調査の結果は「まなづる海の月報」2019年4月号に詳しく載っています。

哺乳類である彼らはなぜ、陸を捨てて海を選んだのだろう。
海での暮らしに適応するために、どんなふうに進化して
いったのだろう。そして、なぜ海岸に打ち上がるのだろう。
それが知りたくて、一つ一つの死体から聞こえる声に日々
耳を澄ます。
今まで深く考えたことがなかったけれど、
海の哺乳類って、海から進化して陸に上がった哺乳類が、
再び海に戻ったのだという…
進化の過程で海に戻っていった彼らは、いわば「変わり者」
と著者は語る。
海にすむ哺乳類は大きく3つのグループに分かれると知った。
鯨 類:クジラ・イルカ・シャチ
海牛類:ジュゴン・マナティ
鰭脚類(ききゃくるい):アシカ・オットセイ・アザラシ・セイウチ
クジラ、イルカ、シャチと分けて考えていたけれど、同じ仲間だったのね。
私は陸の哺乳類ではチーター、海ではシャチが一番好き。

著者の田島先生もカナダのバンクーバーで出会ったシャチに魅了されたことが
きっかけで海洋哺乳類の研究を選んだという。
ストランディングとは海の哺乳類が何らかの理由で陸へ打ちあげられ
自力では海へ戻れなくなった状態のこと。
日本語では「漂着する」「座礁する」と表記されることが多い。
日本では年間300体ものクジラたちが海岸に打ち上げげられているそうだ。
これは報告があっただけの数なので、住む人のいない土地の浜で
人知れず打ち上がったクジラはもっといると言う。
海洋哺乳類がストランディングされたという知らせが入ると、
日本中どこへでも駆け付け調査をする。
おそらく日本で一番多くクジラを解剖しているのが田島先生らしい。
その調査の方法は私の想像をはるかに超えたもので、
読んでいてびっくり、そしてわくわく。
調査委現場に立つと、いつも思う。
なぜこのクジラは死ななければならなかったのだろう。
その原因に私たちの生活は影響しているのか、
だとすれば私たちにできることはなんなのだろう、と。
***** ***** *****
真鶴の三石海岸にクジラの死体が漂着したのは
2019年の4月11日のことだった。
4月25日付けのカナコロの記事によると足場が不安定な岩場に打ち上がっており、町は安全性を考慮し
公表を控えていた。とあるけれど、私は11日にかながわ海岸美化財団のFBで知った。
この話をManbowにすると「写真を撮ってこい!」という指令が飛んだ。
こちらの写真は12日のかながわ海岸美化財団のFBに載ったものだけれど、
海岸のどのあたりか場所が特定できなかった。

とりあえず時間ができた15日に岬まで行って、
売店の方に「クジラ見ました?」と聞いてみた。
すると見てきたというオジサンが丁寧に場所を教えてくれた。
3百数十段の階段を下りて海岸にでると、遊歩道を番場浦とは反対の方へ。
いままでこちらへは来たことがなかったので恐る恐る進んでいくと
大きな岩の向こうにそのクジラは横たわっていた…
こちらがManbowの指令で15日に私が撮ったもの。

思ったよりもずっと腐敗が進んでいてショックだった。
Manbowの指令がなかったら写真を撮る勇気がなかったと思う。
後で知ったことだがこの個体は死後1か月ほど海を漂っていたらしい。
12日の写真と比べると、尻尾の曲がり具合やお腹の膨らみ
鰭の角度などがかなり違うことが分かる。
もちろん写真を撮った場所の違いもあるけれど、
これは腐敗が進んだために体内にガスが溜まって変化したから。
さらに腐敗が進むとガスによってクジラが爆発することもあると
「海獣学者、クジラを解剖する。」に書いてあった。
このあと18日には国立科学博物館の調査が行われたので、
もちろん田島先生も駆け付けたようだ(女性科学者と聞いただけなので)。
後日、遠藤貝類博物館の学芸員さんも調査に参加したと、
その時の話をやや興奮気味に(嬉しそうに)話してくれた。
調査の結果は「まなづる海の月報」2019年4月号に詳しく載っています。