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Channel: 布とお茶を巡る旅
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海の哺乳類:その2

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海の哺乳類の死体が教えてくれること
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なぜクジラたちはストランディング(漂着・座礁)するのか……
いくつか理由は考えられますが、

①病気や感染症
②餌の深追い
③海流移動の見誤り

他にも磁場説や寄生虫説などの報告もあるけれど、本当のところは分からない。
だから解剖して死因を調べるわけだが、
現場まで時間がかかって完全な状態で立ち会えることはめったにないので、
なかなか真の理由は分からない、分からないから調べ続けるのだと
著書にありました。


これ、いつのころからあるのか分からないわが家のクジラ。
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由来をManbowに聞いたら「K子(=私)のものだろう」と言い放つ始末。

どう考えてもManbow氏の趣味だわさ~
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言い争っても仕方がないので、田島先生の本で調べることに。

クジラにはヒゲクジラとハクジラに大別されるという。
ヒゲクジラは体が大きいものが多い。
シロナガスクジラは30mを越えるものもいるし、ザトウクジラでも15mになる。

ナガスクジラ科のクジラは飲み込み摂餌というダイナミックな食事方法をとる。
大量の海水と餌を一気に取り込むので、お腹側に喉から臍のあたりまで、
アコーディオンのようなヒダを作り伸縮性を生み出した。
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この模型はヒレも長いのでデザトウクジラではないかしら?

国立科学博物館のミュージアムショップで見つけたこちら。
ザトウクジラですって(大きさは7×5×16.5cm・価格は800円)
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お値段の割に再限度高いですね、さすが科博です。


真鶴の遠藤貝類博物館にある骨格標本はコククジラでした。

三石海岸にコククジラが漂着した時に調査に当たった科博の研究員の方
(おそらく田島先生)に見てもらったところ、
この骨格標本もコククジラであることが確認されたのです。

その昔、定置網にかかったまま白骨化したものを
漁協の方々が博物館に寄付されたもので、
この大きさですが、1歳少しのまだ子供らしいです。

この標本の素晴らしいところは触ってもいいというところでしょうか。
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そっと持ち上げるとあまりの軽さに驚きます。
海中生活で自由に動けるようにと「骨粗しょう症」なんですって、クジラ。


そして私が一番好きな海の哺乳類・シャチ
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(こちらは風土の浦田由美子さんの作品)

ぜんぜん腹黒くないです、真っ白です。
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再び科博の海獣学者・田島木綿子さんのお話になりますが
学生だった私は、あの完璧なフォルムと見事な黒と白の織りなす体色のコントラスト、そして鋭く立派な歯を持つシャチにあっという間にノックダウンされてしまった。要は一目惚れである。その後、仲間への優しさや思いやりあふれる性格を知ると、そのギャップにまたまたノックダウンされた始末である。とまで言わしめているシャチ(空中は飛びませんけど)
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「Killer Whale」などという英名を持つためか、
シャチについては世間でいろいろと誤解があるようなので、
この際、きっちり説明させていただきます。

はい、確かに肉食です。それがナニか?
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こちらの本に出てくるシャチに関する部分、涙無くしては語れません。
それは「流氷に閉じ込められた12頭のシャチ」という報告です。

2005年の2月に北海道羅臼町の沿岸でシャチ12頭が流氷に閉じ込められて
身動きが取れなくなっているという第一報から壮絶な物語が始まった…

シャチが閉じ込められているところは水深の浅いところなので
巡視船は入れない、漁船で流氷を砕いて逃げ道を作ろうとしたが、
シャチの近くまでは行けず、せっかくの逃げ道も寒さですぐにふさがってしまう…
考えられるあらゆる手段を試したが、とうとう子供3頭を含む9頭が
流氷の中で息絶えてしまうという悲劇となってしまった。

とても残念で心痛む出来事だが、
3頭は逃げられたことが」せめてもの慰め、かなぁ。

この話で私が一番心打たれたのは、一度流氷から逃れた大人のシャチが、
自力で脱出できない子供のシャチの鳴き声を聞いて戻ってきて
結局は脱出できなくなって一緒に死んでしまったということ。

研究によるとシャチはビッグママ1頭を中心とした母系社会を作って、
その血縁関係、群れをポッドと呼ぶのだが、
各ポッドで鳴き声に訛りや方言といった癖があることが分かっている。
だから子供を置いて逃げることは出来なかったのだろう…

愛情深くて優しいんです、シャチ(わが家では牛とも仲良し♬)
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根室海峡にも定住型と回遊型のシャチの群がいるという番組を見たので、
ぜひいつかこの眼でシャチを見たいというのが私の夢となりました。
もう私にはアフリカにチーターを見に行くのは大変なので…

最後に田島先生からのお願い

【もしも海岸でクジラを見つけたら】

遠目から見て、クジラが生きていることが確認出来たら、
すぐに地元の自治体か警察、消防署に通報すること。
⇒そこから救出のための手配をしてくれる。

すでに死亡している場合は地元自治体へ連絡すること。
できれば同時に地域の博物館、水族館へ連絡をする。
死亡個体の場合は自治体によって粗大ごみ処理をされてしまうことがある。

科博のHPには田島先生のメールアドレスも掲載されているので、
緊急連絡先として携帯に登録して欲しいと書いてあるけれど、
海岸でクジラに遭遇することがあるかしら…

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