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Channel: 布とお茶を巡る旅
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わたし「被告」になりました:その1

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その知らせを受け取ったのは2022年1月末のことだったので
もう1年半前のことになる。

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見知らぬ法律事務所からの封書って、このご時世やや緊張。
新手の詐欺かもしれないし…

などと言う一抹の不安を払しょくするには、
さっさと開封すればよいのだけれど。

手紙によれば、この弁護士の「依頼人A氏」が、
長年耕作してきた田んぼの登記簿上の名義が
明治初期に亡くなった人のままにまっているので、
それを「依頼人A氏」に変更する手続きをしたいのだが、
なにしろ長い年月が経っているので相続人が多岐にわたり、
抜本的な対策を行うためには民事裁判を起こす必要がある。

なぜか私もその相続人の一人となっているということで、
後ほど裁判所から訴状等の関係書類が届くらしい。

この裁判によって私はなんと「被告」の一人となるそうだ!

しかしご安心あれと手紙は続く。
被告という立場ではございますが、田んぼの名義変更のためだけに必要な手続きであって、田んぼの名義をA氏に変更することに同意頂ける場合には訴状を受け取って頂くだけで手続きが完了する見込みです。(裁判所へ出頭していただくことも、書類を提出するなども一切不要です)
名義を移すこと以外、裁判による不利益は一切生じません。
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困ったのは、この「依頼人A氏」という人物がいったい誰なのか、
私には全く心当たりがないということ。
ただ「依頼人A氏」の苗字が母の旧姓と同じであること、
記載されていた田んぼの所在地が母の実家のあったところと同じ町
(当時は村だった)であるので、母方の親戚ということは想像がつく。

あいにく母は昭和62年(1987年)に58歳で亡くなっている。
(亡くなっているから私が相続人の一人になっているわけだけれど)

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さて、わが母の生い立ちは少々複雑で、
母の実母(祖母)は母を産んですぐに亡くなっている。
乳飲み子を抱えて困った祖父はすぐに再婚したそうだ。
それが祖母の妹だったというからややこしい。

しかも再婚して間もなく妊娠、やはり二人は育てられないということで、
私の母は近所に住んでいた叔父夫婦に育てられたらしい。

最終的に母には4人の弟と1人の妹ができた。
母親違いの兄弟姉妹とはいえ、もともとの血縁は近いので、
表面上はみんな仲が良かったけれど、
母はずっと孤独感を抱いて生きてきたようだ。

私は母方の祖父母についての記憶がまったくない。
私の2歳年上の姉が祖父と一緒に写ってる写真を見たことがある。
けれども私と祖父が一緒のものは一枚もない。
祖父は私が物心つく前に亡くなってしまったようだ。

母の義母(叔母でもある)は長らく入院していると聞いていたが、
私は一度も会ったとがないし、亡くなった時期もよく知らない。

母は自分の家族についてあまり語りたがらなかったので、
私も積極的に聞くことはなかった。

そういえば母の兄弟姉妹に会ったのは、母の葬儀の時が最後なので、
もう36年も前のことになる……

母が亡くなってから数年後、母のすぐ下の弟が亡くなり、
実家の土地建物の権利を放棄する手続きをしたのが最後のやり取りだった。
しかしその時も姉を通して郵便でのやり取りで会ってはいない。

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今回の「依頼人A氏」はいったい母と(つまりは私と)
どこでつながっているのか、
私の知りたがりの虫が目覚めてしまった。

私が「被告」の一人であるなら、とうぜん姉も「被告」なはずなので、
姉に聞いてみようかとも思ったけれど、
後ほど裁判所から関係資料が届くというならそれを待って
資料の上からなぞ解きをしたほうが面白いだろうと、
楽しみに待つことにした。
話が長くなるので、続きはまた。

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