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Channel: 布とお茶を巡る旅
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望月語録その2

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別なお部屋には、インドのアンティークカンタも一枚だけ登場。
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アンティークのカンタはたくさんお持ちですが、
今回は先生の作品集の出版記念なので先生の作品をメインに。
でも初めてカンタを見るという方のために
特別な一枚を展示してくださったそうです。

銀花137号の中でこのカンタについて
「私が死んだ時、棺にかけてくれと言っているの」という
お気に入りの一枚。

古いカンタを見ては
「どうしてこんなふうにしたの?」「何に使ったの?」と
心の中でいつも時を超えた会話しているそうです。


中国・貴州省の農村風景を刺した「山あいの村」
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このカンタにはこんなエピソードがあります。
⇒2016年9月「望月真理カンタ展」

家族のカンタ。こちらも2016年のブログ↑に書いていました。
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ご家族の古い泥大島にお孫さんが描いた絵を刺したカンタです。
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圧倒的な魅力を放つ「太陽紋のカンタ」はうっすらとヨモギ染めされた糸が
深みのある白を作り出しています。
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そしてこの針目の美しさにため息がでます。
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私が好きな一枚、「ヴェトナム紀行」
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髪型や髪飾りに注目されていたそうです。
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かなりデフォルメしていますけど、不自然さはありません。
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こういう全体象も省略すべきところは省いて、
しかも動きを捉えていて見事です。
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以前に見た本ではアンコールワットの作品もあって(銀花137号より)
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独特の踊りのポーズをみごとに捉えています。

こういう動きを自由に刺すには針選びも大切ということで、
研究されていたノートがこちら(銀花137号より)
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思いのまま自由に刺せばいいのよとおっしゃっていますが、
そう言えるのには観察と工夫があってのお言葉なのです、当然ですが。

「象は森の王様」 コロナ禍 93歳の作品 
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象が刺したくなったので、まず象を刺したの。
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それからその象は森の中にいるということで、植物を周りに配した。
本には「あえて下書きの線を残した」というキャプションがありますが、
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お嬢さんの話では
「洗えば消えるペンと間違えて消えないペンを使ってしまった」
というのが真相らしいのですが、線があっても全然気にならないし、
言われなければ肉眼では気がつかなかった(私だけ?)

さて、先生がカンタを刺し始めた頃に悩んだのが布です。
着古したサリーやドーティは手に入りませんから、
いろんな布で試した結果
「使い古した布団カバーがちょうどいい」という結論に達しました。
こういう話をすると皆さん
「では今度カバーを交換したらお送りしますね」というけど、
ほんとうに送ってくれた人は今までたった一人だった!
その人とは今でも親しくお付き合いしていますと:笑

この話を聞いた時、私はちょっと戸惑いました。
先生のおっしゃる布団カバーって子供の頃わが家でも使っていた
白い割烹着のような生地のカバーだとすると、
いくら使い古してもカンタにするには密で
ニュアンスが違うのではないかしら…

そんな疑問を抱きながら銀花137号を読んでいたら、
ちゃんと書いてありました。
使い古した布団カバーとは「ガーゼのような毛布カバー」だったんです。
それを3~4枚重ねて刺すと不思議なことに
絹のような肌触りになるんだそうです。

とは言え、現在ではそれもなかなか手に入らないので、
今はインドの布を使用しているそうですが。

まだまだお聞きしたお話はたくさんありますが、
きりがないのでこのへんで。

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少し早めに帰らなければならないのでご挨拶したら、
お名前は?どちらからいらしたの?とお聞きになって、
真鶴ですと答えると「ああ、お魚が美味しいところね」と。

10年以上前に三角アップリケのワークショップに参加しましたと言ったら、
ああ、アカ族のね、〇〇大学の先生が私のところに来て
「あれは三角にカットするんです」なんて言ってきて!と憤慨するので、
「布を畳んで三角にするんですよね」と言うと嬉しそうでした。
(それにしてもすごい記憶力!)
カンタが一段落したらあれもまたやりたいわと、
意欲満々の望月先生、御年95歳でした。

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